高校デビュー失敗、そして迷走

 

自分で言うのもなんですが、
小学校・中学校と優等生タイプでした。

 

まじめと言えば羽村、羽村と言えばまじめでした。
ただし、扱いにくい奴だったとは思います。

 

 

 

中3の冬、高校受験を無事に乗り切って、
晴れて高校生となった15歳の春。

 

畑と牛しかいないような田舎の中学生が
街中の高校に通うことになりました。
広がっていく世界に期待を抱きます。

 

 

 

 

 

しかし。

 

1年生のときは友達ができませんでした。
クラスでいろんな人と話はするんですが
「友達」と呼べる人が誰もいません。

 

昼休みはいつも自席に一人でいました。
一人で何をしていたのか記憶がありません。

 

 

 

そのうち慣れるかなとも思いましたが、
居心地はどんどん悪くなっていきます。

 

 

 

そんな僕のことなど気にかける人は
誰もいなかったでしょうが、

 

みんなが楽しそうに話しているのを横目に
自分ひとりがぽつんとしているのは、
カッコ悪くて恥ずかしいことでした。

 

 

 

思えば小学校から、さらには保育所から
中学校を卒業するまでずっと
同じ顔ぶれで持ち上がってきたので
物心つく前からの友達ばかりでした。

学年1クラスだけだったのでなおさらです。

 

それまで「自分から友達をつくる」ってことを
したことがなかったのに気づきました。

 

 

 

もちろん環境のせいではありません。
それまで友達を必要としたことがなかった、
それだけのことでした。

 

 

 

しかし、気づいたところでどうにもできません。
完全に高校デビューしそこなってしまいました。

 

 

 

 

 

でも、それだけの高校生活ではありません。
僕には部活がありました。

 

中学校からやっていたソフトテニス。
僕が入ったこの高校、公立ながら代々強豪校で、
中3の夏から入部を決めていました。

 

 

 

入部したころは文武両道に燃えていました。
毎日部活でくたくたになりながらも
バスの中で授業ノートを読み返したりして
今考えたらなんて健全な高校生だろうと思います。笑

 

しかし、大きな大会がある6月くらいになると
バスは行きも帰りも睡眠時間になっていて
家に帰れば倒れこむような生活でした。
勉強どころではありませんでした。

 

 

 

僕を入れて4人、1年生が入りましたが
夏休みには僕ひとりになってしまいました。
勉強に差し支えるから、という理由でした。

 

それでも、1年生のうちはまだ気楽でした。
先輩が気を遣ってくれたんだと思います。

 

 

 

2年生の夏になって新しいチームに慣れたころ、
3年生が引退して僕がキャプテンになりました。

 

そのころにはようやく友達もできてきて
学校外で遊んだりすることもありました。

 

友達が増えていくにつれて
優等生キャラはだんだんと影を潜めて、
僕は馬鹿になっていきました。

 

 

 

その頃には、家やバスの中のみならず
学校の授業も睡眠時間と化していました。

 

 

 

授業が始まって20分もすると
がっくりと頭を垂れていました。

 

 

 

『…羽村。寝るな』

 

 

 

教壇から僕を呼ぶ国語の先生の声が
今でも耳に残っているくらいです。

 

それが理由で呼び出されたこともありましたが、
睡魔には勝てず、やはり寝てばかりいました。

 

しばらくすると起こされることもなくなりました。
ちょっとだけ寂しかったのもありましたが、
起こされない安心が勝ちました。

 

 

 

 

 

そして部活はというと、
1年生がめきめき力をつけてきて
キャプテンになっていた僕は、
実力のなさにあせり始めます。

 

それでも後輩はついてきてくれましたが、
自分が情けなく思えたりもしました。

 

 

 

 

 

ところで。

 

高校時代、僕はずっとボウズ頭でした。

 

バリカンの長さ調節アタッチメントを外して
一番短くなるようにしていました。笑

 

 

 

高校2年生、秋のある日のこと。
クラスの友達Cくんが言いました。

 

「明日、一緒に眉毛剃ってこようぜ」

 

頭はボウズだしヒゲは剃るのが普通です。
眉毛だって大したことはないだろうと、
僕はこともなく言いました。

 

「いいね、剃ってくるわー」

 

 

 

その日の帰宅後、僕が入浴するころには
家族はもう寝静まっていたので
一人ジョリジョリと剃っていきました。

 

眉毛ひとつでこんなに人相が変わるのか、
と静かに興奮しながら、

Cに会うのを楽しみにしながら寝ました。

 

 

 

翌日、起きて家族と顔を合わせるとき、
顔がこんなにおもしろくなってしまって
笑われるかと思っていたのですが、

 

 

 

僕を見るや、父は血相を変えて
「お前な、人にはやっていいことと悪いことがあるんだ!」

 

弟が目を合わせようとしません。
「兄ちゃんこんなんじゃなかったのに…」

 

母は、馬鹿を見る目で僕を見ています。

 

 

 

 

 

結局その日は眉を描くペンを母に借りて、
うっすらながらも復元した眉毛で
学校に行ったのでした。

 

しかし、約束した肝心のCは
昨日と何も変わっていません。

 

 

 

さらに、あろうことか

「まさか本気で剃ってくるとは…」

 

と呆れている様子です。

約束を破られて、呆れたいのは僕のほうです。

 

 

 

眉毛がこんなに社会的な意味を持つなど
優等生で通してきた僕は知りませんでしたが、
やってしまったのは仕方ありません。

 

その日は何とか目立たないように
おとなしく過ごすことにしました。

 

 

 

しかし、もとの眉毛は主張が強かったので、
ちょっと描いたくらいでは明らかに足りません。

 

例の国語の先生には授業中、

「羽村、お前病気か?」

と真顔で聞かれました。

 

せっかく描いたのも2時間目くらいで
友達に消されてしまいました。

 

 

 

さらに、友達と廊下を歩くときに
僕のうしろに一列に並ばれたり
違うクラスから見物に来て写真を撮られたり。

 

学校内に話が広まっていく中で、
僕が眉を剃った理由が
「つまらない自分を変えたかった」という
それらしすぎて否定できないものに
改ざんされてしまいました。

 

 

 

ふだん平和で穏やかな高校だったので、
眉毛ひとつで思わぬ騒ぎになってしまいました。

 

しかし、注目を浴びる気持ちよさを
心のどこかで感じていたのも確かです。

 

 

 

そしてまた着実に、僕のキャラは
優等生から遠ざかっていきました。

 

 

 

エピソード3『遅すぎた高校デビュー、さらに迷走』へ

 

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プロフィール



羽村悠志

北海道に帰ってきた
超インドア派の29歳。
地元は帯広、今は札幌。

SRV250Sに乗っています。
好物は音楽とマンガです。

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